MLF

Maro‐lactic fermentation(マロラクティック発酵、後発酵)

出来立てのワインが多く含むシャープなリンゴ酸を基質として、乳酸菌の働きによって乳酸と二酸化炭素に分解させる反応(マロ=リンゴ酸、ラクティック=乳酸)。これによりワインにより柔らかく円やかなテクスチャーが生まれ、ダイアセチル由来のバターやクリームなど乳製品様の深みのある風味を持つように為る。一般的に赤ワインに酸は必要ない為(タンニンはリンゴ酸と相性が悪く、MLF前の赤は非常に辛い)、更に複雑さや長期熟成が求められる為ほぼ全てに行われ(知る限りでの唯一の例外は北ポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデの赤のヴィニャオンという果肉の赤い品種)、またブルゴーニュの白ワインは特に、濃くを追求したり長期熟成させる場合が多い為、爽やかさよりもふっくらとした豊かさが重要になる事から、MLFで酸の量を減らす。したがって を使う白ワインはほぼ全て(樽使用のシャルドネはMLFしないと果実香と樽香がバラバラに為り易い。MLFの乳酸香が両者を結び付ける)、また酸が高過ぎる白ワインにも行われる(元々は寒冷地の減酸方法の為、特にドイツやカナダ等では重要な工程と為る。WSET Diplomaでは marolactic conversion「転換、変化」と記載される事も)。乳酸菌がグルコースを基質として乳酸を生成する乳酸発酵とは別。

因みに日本酒において、世界で初めてMLFを取り入れた水戸部酒造の「山形正宗まろら」は、他の酒に比べ圧倒的に甘味と酸味が強く燗適酒である