渋み

収斂み、収斂性。温度や痛みを感じる器官である三叉神経が刺激されて起こる触覚で、タンニンが唾液中の(ムチン型糖)蛋白質と結合し(ワインをペッとした後に吐器に浮かぶヌルヌルです)、唾液が口内から無くなり、乾いてざらつく感覚。(割り箸をチューと吸った時に口内の水分が持って行かれる感じ。イメージとしては、ガーゼ < スエード < ヴィロード < シルク。因みに辛みも味覚ではなく触覚で、唐辛子のカプサイシンの熱さやミントのメントールの冷たさで舌がヒリヒリする感じ〈痛覚〉)

またタンニンとは、tanning「皮鞣し」に使用された語で、化学的でない事から「ポリフェノール(プロアントシアニジン)」と呼称される。蛋白質と結合する特性があり澱となる(カルピスの牛乳成分由来の白い蛋白質の塊と同じ現象)。其処から脂肪分を洗い流し口内をすっきりさせるとして、「赤には肉」と人口に膾炙かいしゃしている。

同じ味や香りには慣れが生じるが、渋みは繰り返し晒されると増加して行く。唾液(弱アルカリ性で蛋白質を溶かし、乾燥防止・清潔維持・消化補助の役割)の生産(普通人は一日に0,5~1,5Lの唾液を分泌し、殆どは飲み込み、就寝中はほぼゼロと言う。また乳幼児時期に水分を取り過ぎると発育が低下するとも)が追い付かず、潤滑剤的口内保護物質ムチンが補充出来ない。結果、赤ワインをテイスティングするほど不快なまでに渋みが強くなって行く。味覚も疲労する。尚、手軽に入手出来る物の内、渋み増加を抑える効果が最も高いのは無塩クラッカーで、最も低いのが水。

尚、清酒の渋みには、酒が硬い時に出るものと熟成により出て来るものがあり、後者のそれは 旨味 に通じプラスに働く