原酒

清酒はアルコール度数が高く(※)、醪を搾っただけの状態では20%前後にも為り、これは醸造酒の中でも世界一である(ワインは15%台迄が最高、それ以上は酵母が死滅する)。その為一般的には瓶詰め前に「割り水」がなされ、15~16%と、最も味わいのバランスが整って飲み易い濃度に加水調整される

 ※ アルコールが高く為る理由は、①日本酒用の酵母力 ② 並行複式発酵 ③三段仕込み ④低温発酵 ⑤仕込み水の量の少なさ(同じ穀物酒ビールの5分の1程)による。特殊な物だと、新潟県玉川酒造のスーパー舞36(Alc36%)、えちごさむらい(Alc43%と46%)という酒もあり、えちごさむらいナポレオンに至ってはAlc46%とリキュール扱い

一方で、加水がなされない、もしくはAlc1%未満の加水がなされた酒は「原酒」という表記が可能になる。高アルコールの酒は腐敗しにくい為、酒蔵での貯蔵は原酒で行われる。したがって原酒とは本来蔵に行かなければ飲めない搾りたての酒であった(屢々しばしば原酒とはアルコールに強い人が選ぶ酒と思われがちだが、その様な発想は余り無い)

原酒はストレート、オン・ザ・ロックス、又は水割りにして自分の好む濃度で楽しむ事が出来る(原酒はエキス分が強く、甘味や旨味、そしてアルコール度数の高さに由来するしっかりとしたボディと後半の切れを感じる事が出来る。逆に加水によりアルコール感は軽く為り、柔らかく滑らかな味わいへと変わる)。同じ水割りでも、蔵で加水調整して馴染ませた後に出荷された物とは少し違う風味を味わえる。しかし14%以下に迄アルコール度数を下げると何を飲んでいるのか分からなくなるので注意(個人的には強炭酸水で十分の一程割り弱発泡清酒にして楽しむ事が多いですネ)。因みに吟醸酒はその香味の高さや繊細さを損ねぬよう割り水を一切しないが(同じ理由から活性炭 濾過 はほぼせず、 で貯蔵し、火入れは一回に減らす事も)、原酒表示しないのが一般的(山廃吟醸は割り水する事も)