シュール・リー

発酵終了後から瓶詰まで澱引きを行わない製法。「澱の上」の意。酵母が自己消化してアミノ酸と僅かな二酸化炭素をワイン中に放出。抗酸化作用がある為、酸素を消費してワインのフレッシュさを維持させ、フルーティさ、そして澱からの酵母(イースト:パン)香や濃くとアミノ酸による 旨味 を持たせる。スティルワインでは主にミュスカデや甲州に活用。

スパークリングワインでは 瓶内二次発酵 後の瓶内熟成の工程で活用され、風味を向上させて行く(この期間が長いほど高い圧力が掛かりCO2がワインにより多く溶け込む為、開栓後に発生する泡はより小さく為る。即ち長期熟成はミレジム(ヴィンテージ)物となり、結果小さな泡は良質の証と為り、必然的に高級品と結び付けられる事に為る)。この酵母の自己消化による香りの度合いは、熟成期間に伴い次の様に発展して行く。

ドライイースト()→パンドミ(焼)→トースト(焦)→ブリオッシュ(バター)→クロワッサン(バター+焼)→バケット(固焼き)→パンデビス(スパイス+蜂蜜)

因みに、発泡ワインの瓶内は二酸化炭素の環境にある為、ほぼ酸化せずに熟成する。即ち、ワインは還元状態にある為、酸化状態とは異なる性質が付与される(還元は酸化より良い熟成で、より緻密で奥行きのある、滑らかな味わいに為る)。

・還元熟成:パン香とアミノ酸が変化してほんのり醤油や鰹出しの香り(甘辛度を決める補酒ドザージュが多いほど顕著)、白い土やトリュフの様な土っぽさ→鉄っぽさ→酸化鉄+石灰(ミネラル の発展)、またピノ・ノワールの比率が高いとヨードっぽさやヘーゼルナッツ、長期に及ぶと穀物酒の香り

・酸化熟成:ナッツやスパイス香、血→生肉→革→動物の汗→ヨード(動物臭の発展)