第十七瓶 お役立ちワイン映像集

 此処で一区切り付きました。熱し易く冷め易いアルミニウムの様な私がこの第十七稿まで辿り着く事が出来ましたのは、ひとえに数少ない読者様の貴重なクリック数が積み重なる事によって、1円玉よりも軽い私の心を𠮟咤激励して下さったお陰であります。畳に正座し両手をついて深々と平伏、御礼申し上げます。しかしながら私も含め、延々とした文字の羅列にお疲れの様子が犇々ひしひしと感じられます為、本稿は文字ではなく映像に語らせる事と致します。YOUTUBEなる時代の寵児の力をお借りして、皆々様の目と耳と頭を喜ばせる事を主眼に置き、見て置いて損はない映像を選びました。英語の資料が多いですが、映像だけでもワインについての理解が深まる筈です。それぞれ是非一度、お試し下さいませ。

・葡萄栽培からワイン醸造、製品出荷までの一連の流れが、通が好みそうな視点から紹介されます⇒”Discover the Art of Making Wine”(29:22):https://youtu.be/4UJmB3EqhU0

・シャンパーニュの製造過程(ボランジェの設備現場)⇒”Pop the Bubbly! How Champagne is Made!”(4:24):https://youtu.be/dVtIIjm4lSQ

の製造過程(ブルゴーニュの名手ルイ・ラトゥールの樽職人の作業)が簡潔に纏まっています⇒”how a wine barrel is made”(7:41):https://youtu.be/BReofCcAx-Y

(菊正宗、吉野杉を使った樽酒の製造過程も比べてご覧下さい)⇒”Taru Sake-binzume”(5:06):https://youtu.be/sYiIQHVJ6Fc

・GuildSomm制作、様々なテーマの映像集、気になる物をどうぞ⇒https://www.youtube.com/playlist?list=PLDFWTWdngwd8BvxfWjIUCCGRoZ-k11w-r

〈田崎真也氏関連動画〉

・1995年ソムリエコンクールでの雄姿⇒「クローズアップ現代」(28:59):https://youtu.be/j4B8eeSmKrY

・「料理の鉄人」中トロ対決。見事なサーベラージュ・パフォーマンスあり、今は亡き女優の川島なお美さんも出演されています。ネタバレですが、中トロとチョコと赤ワイン、本当に合いますヨ^^⇒”Iron Chef – Fatty Tuna (1998)(41:29):https://youtu.be/mvQpPJSV070

・その言葉の表現力に脱帽「トリビアの泉」⇒「苦汁をなめる」vs「辛酸をなめる」(9:04):https://youtu.be/EYjGdsy4MNk

・その味覚の測定力に脱帽「トリビアの種」⇒「日本のまわりの海で一番しょっぱいのは▢」(9:06):https://youtu.be/-hN5fOcgfQU

〈お勧めワイン映画〉

・「サイドウェイ」(原題 SIDEWAYS):カリフォルニアのピノ・ノワールを進化させるきっかけと為った映画。2004年公開以前はカリフォルニアのピノはほとんど知られていなかった為、生産者や飲み手はピノの本質を理解しないままパワフルさを求めていた。しかしヒットを機にこの品種の個性と向き合うように為った。幾度の視聴に耐え得る、中年男二人組の七日間の珍道中(2004年度アカデミー賞脚色賞、ゴールデン・グローブ賞作品賞・脚本賞)。日本リメイク版「サイドウェイズ」は…もし偶々たまたまTV放送されていたら見てみてネ

この地図内で、主に物語は展開されます(THE WORLD ATLAS OF WINEより加筆)

・「ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち」:専門的な内容も含まれるが、現代日本ワインの父と称される麻井宇介氏の哲学が垣間見られる映画。日本ワイン愛好家にとって同名小説は必読

・「ブルゴーニュで会いましょう」(原題 Premiers Crus):「サイドウェイ」が飲み手視点の一般向きとするなら、こちらは造り手視点の通向き。或る程度葡萄栽培の知識を蓄えてから見るとより楽しめる

・「ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡」(原題 Bottle Shock):1976年にパリのアカデミー・デュ・ヴァン創始者スティーヴン・スパリュアが開催した、フランス対カリフォルニアの銘醸ワインの比較ブラインド・テイスティング、後に「パリスの審判」として知られる、カリフォルニアワインを世に知らしめたエポックメイキングな出来事を題材にした映画

本日の箴言

 ワインが持つ機知は、賢人を惑わせ、知識人の心を浮き立たせ、厳格な人間を笑顔にする

ホメロス

休日の一本

Nielson by Byron, Pinot Noir 2012(Santa Barbara County, Central Coast, California)

 上記の映画「サイドウェイ」にて最初に登場するワインがこのバイロン(の単一畑100%ピノから造られた幻の泡)。サンタ・バーバラは海からの冷たい風や霧が流れ込む冷涼な場所ゆえ主要品種は早熟のシャルドネとピノ・ノワール(※)。その中のサンタ・マリア・ヴァレーやサンタ・イネズ・ヴァレーは「ブルゴーニュのコード・ドールに対するカリフォルニア南部の反撃拠点」とも言われ、より冷涼な環境下にある。この辺りは極端に降水量が少なく(冬前は冷え込んで雨ばかりだが)、秋の降雨もめったに無いため急いで葡萄を収穫する必要も無く、成熟期間を非常に長く取れる利点があり、葡萄はより風味を蓄える事が可能と為る(この超完熟の反動として、現在は新鮮さを求めて早摘み傾向にある)

 ※ 晩熟のカベルネ・ソーヴィニョンやリースリングなどよりは成熟するのに熱が必要でない為、早い発芽は春霜の問題を伴うが、冷涼地や夏が短い場所に適する品種(例えばカベルネは温暖な気候でないと育たず、故郷のメドックやグラーヴでさえ毎年完熟するとは限らない。一方で北部カリフォルニアやチリの様な日照量のある温暖地では素晴らしい単一品種ワインになる〈映画内のサンタ・バーバラの畑が、コート・ドールでは丘に在るのとは異なり平地に在る事に注目。平地でも十分日照量があるという事。またカリフォルニアは曾てメキシコの植民地であった為か、メキシコ人労働者が映る事も見逃す勿れ。不法入国の問題もあるらしいが、熟練の労働力は貴重〉)。シャルドネは頑丈で耐寒性が有る。ピノは糖度が直ぐに上がるため比較的冷涼な土地でも高アルコールになり易い、が逆に暑い地域で育てられると早く成熟し過ぎて薄めの果皮に含まれる多くの風味成分を十分に育む事が出来ない

 黒紫がかった濃いめのルビーと豊かな粘性はエキスの濃厚さを感じさせる。昼夜の寒暖差もあろうか、カリフォルニア的暑さをも感じさせる十分な成熟度に達した果実香には安定感があり、プラム、ブラックベリージャム、カシスリキュール、黒胡椒、鉄っぽさ、薔薇、ナツメグ、樽 由来のヴァニラやトースト、若干スーボワの アロマ も取れる

 スマートな甘さのあるスケールの大きい第一印象。豊満な果実味、上品な酸味、滑らかな 渋み、仄かな苦味さえ心地良いのは全体のバランスが取れている為。濃厚さのみならず繊細さや上品さをも備えているところは美事。今でも十分楽しめるが、あと五年待ってみたいと思わせる程の質

 16~18℃、瓢箪型 グラス で。レバーパテ(癖のある脂味に品を添える)、ポン酢がけ豆腐ハンバーグ(酸味や風味のレベルの一致)にも良く合う〈2015年6月〉

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