第十四瓶 日本ソムリエ協会呼称資格認定二次試験対策

 酒神崇拝から始まり、幾つかの技能と幾つもの酒肴を経て前後を忘れた男のワイン遍歴総括ブログもようやく佳境に入って参りました。誠に有り難くも此処迄ご丁寧にお読み下さった方々の、五味と五感に対する関心が僅かなりとも深まりましたら、バッコスの徒としてそれ以上の喜びは御座いません。

 コンテストにおいてもそうですが、テイスティング試験では同じ国が重なる事は避けられ(※2020年ワインエキスパートの部ではフランスから2種出されました)、また明確にその産地や品種の特徴が出ている物が出題されます。ですので、自然派はビオ臭(酸化臭/還元臭/フェノール臭)が有り個性を失わせる為に不適切として除外されます。当然 が強過ぎて統合されていない物も出ないでしょう。此処で改めて強調致しますが、「特定」より「表現」です。最初に思い込んでしまうと軌道修正が効かなくなります。此処で恥を忍んで告白致します。確かに私は独学一発合格(2015年度)ではありましたが、実はワイン4種中1種(その他の酒類では2種中1種)しか品種を当てられなかった散々のていたらく、完全に不合格を覚悟していました。如何なる受験においても情報不足とは恐ろしいものです。当時の私は次の様な事も知らず受験しておった訳です…

飽く迄2017年に公表された物です

 要するに「表現」だけで78%、その他の酒類に至ってはたったの4%(緑色だの黄色だの、奇妙奇天烈で少しも美味しいと思えなかった酒にあれ程お金を注ぎ込んだのが悲しいではありませんか…しかも出なかったし)、即ち「特定」は年・国・品種合わせて18%、この情報を事前に知っていれば取るべき対策も心持ちも異なる筈です。という訳でこの「表現」、別に呼称試験ではフルコメントを書くという事は無く、用語選択用紙から適切なものを選ぶだけです。という事は結局、其々の品種の特徴をしっかりと頭に叩き込む事が合格する方法になります為、受験者の皆様は暗記に徹する訳であります。取り合えず資格を目指す方は、選択肢という制限がある以上、私がつらつらと述べて参りました「表現の自由」など無視しましょう。そんなものはこの試験においてタワシが役に立たないのと同じくらい役に立ちません。しかし合格した後には、是非自分なりの表現力をこのタワシでゴシゴシ磨いて頂きたく存じます。

 ◎ワイン特定法のご参考に⇒”What Am I Tasting”:https://www.winespectator.com/whatamitasting/quizAnswer/id/5797292

 テイスティング用語には聞き慣れないものが御座います為、此処に解説します(合わせて一覧表に書き切れなかった情報も記載します)

赤ワイン

〈外観〉・落ち着いた→照りの弱い

〈香り〉・メントール→新世界

・シダ→黒緑の印象

・バラ→ピンクの花、爽やか、華やかなワインに

・すみれ→紫の花、華やかで清涼感を生む、若々しさ(熟成するほど消失)

・牡丹→赤みのある花、バラより穏やか

・ゼラニウム→赤い花、牡丹よりニスっぽい、シダを含むヴェジタルな印象(日本ではピンクが多いが、此処では濃い赤色)

・スーボワ→湿った枯葉をかき分けた時の、土の様な茸っぽい匂い。樽熟+瓶熟で発生

・トリュフ→究極の還元熟成、どんな物でもこの状態に達するとは限らない

・黒オリーブ→塩味も感じる

・乾いた肉→燻製肉

・ロースト→焼き肉

・ジビエ→野生の鳥獣肉、狩猟肉(鹿、熊、兎、雉、鴨、猪など食べて味の良いもので、狐、狸、梟などは臭物くさものとして区別される)

・ナツメグ→丁子より弱い印象(ワインに深みを生む)、生温いコーラ+苦味

・甘草→リコリス、養命酒的甘苦味

〈味わい〉・タンニン分:サラサラとした→渋み ははっきりしているが心地良い、ヴィロードのような→緻密(強さ+繊細さ、肌理きめの整い、グリッピーではないが程度は高い)、シルキーな→ヴィロードが熟成した状態(刺激は全く感じず、舌や歯茎にスッと吸い付く感じ、渋み表現の最上)

・豊潤な→グラ、やや甘味寄り

・肉厚な→グラマー、甘味寄り

〈その他〉・適正温度→14-16度か17-20度のみ

白ワイン

〈外観〉・澄んだ→圧倒的に多い

・やや濁った→余程の濁りがあった時のみ

・輝きのある→基本的にこれを選ぶ事

〈香り〉・パッションフルーツ→酸のイメージ

・マンゴー→甘+苦のイメージ

・くるみ→ヘーゼルナッツより乾いた印象

・ヘーゼルナッツ→甘さのある濃いナッツ

・すいかずら→シンプルな甘さ、使用頻度高い

・アカシア→クレープ、パンケーキ、ビスケット等の焼いた甘い匂い、華やかな甘さ

・ミント→緑がかったワインに

・ヨード→ヨウ素(海藻等に有機化合物として濃縮され含有、医薬品の原料)、医院の匂い(イソジン等うがい薬や雲丹うにのアフターフレーヴァーのイメージ)

・花の蜜→色調が濃く成熟度のあるワイン、甘さのある黄色い果実感

〈味わい〉・ドライ、溌剌とした→酸が強い

〈その他〉・木 樽 からのニュアンス→トースティな苦味、後から来るタンニン(葡萄由来は直ぐ来る)が白ワインに骨格を与える

赤白共通

〈外観〉・淡くてもアルコールが高ければ粘性は強めになる

〈香り〉・閉じている→還元状態=嫌気的

・開いている→しっかりと立ち上がる

・丁子→クローヴ、歯医者の匂い(別名:歯医者のハーブ、局所麻酔に使用)

・嫌気的な→スモーキーさ

・第2アロマが強い→果実より花の香りがより前面に出る印象=低温発酵、嫌気的

〈味わい〉・アタック→口に含んだ瞬間のフルーツフレーヴァーの強さ、アルコールからも

・甘み→テクスチャー(触感)も判断材料にする、果実由来の甘味は含めない

・酸味:ストレートな→はっきりしている、直線的に伸びる

・アルコール:軽い→10%未満、やや軽め→10~11,9%、中程度→12~12,9%、やや強め→13~13,9%、強い→14~14,9%、熱さを感じる→15%以上

・余韻:短い→余り使用されない、やや短い→酸が強くない

〈評価〉・ポテンシャルがある→熟成可能

本日の箴言

 ワインの試飲とは、複雑で移ろい易いものを相手としている。得てして主観的な判断が働きがちなのだが、厳密な客観性が求められる領域にまでその主観は及んでしまう。まるで詩の様に、矛盾する見解の両方が正しい事があるのだ。

(作者名失念…<(_ _)>)

休日の一本

Meursault 2015 “Les Clous(※)” (Verget)〈2018年6月試飲〉

※レ・クルー:丘の最上部の涼しい区画(葡萄はゆっくりと成育し、風が強い為に果皮が厚くなる)→ブルゴーニュにおいては標高が最も重要で、冷たい空気は低部と高部に層を作るため葡萄の十分な成熟に支障を生み、暖かい空気層を有する中腹部が最も良い葡萄を生む(例:ヴォーヌ・ロマネでは200~350m部分が村名畑で230~300m部分に特級畑が位置する)

(JSA2次試験テイスティング用語選択用紙準拠→事情をご存知ない方はまるで魔法の呪文の様に聞こえるかも知れませんが、唯与えられた用語を並べているだけですヨ)

 外観は澄んだ、輝きのある、黄金色がかったやや濃いイエロー。強い粘性で成熟度の高さや酸化熟成のニュアンスの印象を受ける

 香りの第一印象は強く濃縮感がある洋ナシ、アプリコット、パイナップル、パッションフルーツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ、キンモクセイ、火打石(ミネラル)、ヴァニラ(樽)、バター(MLF)、硫黄や樹脂(樽)。熟成感が現れている印象で、木樽からのニュアンスがある

 味わいはやや強いアタック、まろやかな甘み、キメ細かい酸味(MLF)、コク(深み)を与える苦味(樹脂を思わせやや渋みもあるので樽由来か)、豊潤な、厚みのあるバランス(充実した果実感と樽の要素が調和)、やや強めのアルコール(13%)、やや長い余韻

 評価としては成熟度が高く豊かなワインの為、冷やし過ぎず11-14度、大ぶりのグラスで

 収穫年は2015(外観に緑の印象も無く濃い色調で、果実味や樽の要素など全体の風味が落ち着き始めてバランス良く纏まり、熟成感が現れ始めている)、生産地はフランス(新世界の様にリッチな果実味が前面に出ていず、ミネラル の印象がより現れて繊細さと気品を演出しているため旧世界。又ブルゴーニュの白は伝統的にバトナージュ〈澱の撹拌:シュール・リー〉を行う為、濃く味や複雑味に加えテクスチャーも付与される)、主なぶどう品種はシャルドネ(石灰土壌を思わせるミネラル感、樽の影響を良く反映するニュートラル品種)

試験ではムルソーは高額のため出されないでしょう(今回は明らかな個性表現をしたワインを選びました)

→因みにムルソーは長めに樽熟成をさせる為、ヴァニラ、カラメル、トーストと、土壌由来の土や茸が混ざり合う個性的な香りになる(このワインにもマッシュルーム香が有りました。個人的には木の実の香りや干し草っぽい樹脂香でムルソーを思い浮かべます)。加えて強めにローストした樽を使う事が多い為、焦げ臭が付き、木材からのタンニンは少なめになる(酸化熟成が主目的。コミュナルはプルミエ・クリュより果実の凝縮度が低めの為、樽の焦げ臭が強くバランスに欠けるかも)

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