第十五瓶 自宅で簡単、一人ブラインド・テイスティング

 新型コロナウィルス感染拡大に伴い、外出自粛と共に在宅時間が増える中で、或いはワインと向き合う時間が増えた方もおられるかも分かりません。しかしながら、ただ飲んで酔って眠り込む、それだけの無為な時間の過ごし方では折角の貴重な人生が泣きましょう。ゴールデンウイークを迎えた事もあり、余暇が取れる今こそ(取れない方々には申し訳ない事です)新しい何かに挑戦し、人生に新たな発見をする良い機会なのではないでしょうか(知識、知恵、判断力など経験と共に蓄積される「結晶性知能」は六十代頃にピークを迎えるそうです)。其処で、恐れながら「特に何も思い付かない」という方には是非ブラインド・テイスティングにご挑戦頂きたく存じます。

 前五稿分を通し、既にテイスティングにおける必要な知識は揃いました。では「いざ訓練開始!」と意気込んでみても、特に独り身の方は「どうやれば良いのヨ?」と思う筈で、きっとそれは私一人ではないと思います。其処で事前に用意する物としましては、(出来れば)前々稿(⇒テイスティング実践)でご紹介差し上げた一覧表の品種のワイン(その内少なくとも3種、スーパーで手頃に入手出来る物で構いません。もしくは次の様な送料無料のお手頃セットから試すのも手間が省けて宜しいかと⇒ ワインセット /本稿の趣旨とは別ですが「お試しミステリーセット」は非常にお勧めです)、受験予定の方は前稿(⇒日本ソムリエ協会呼称資格認定二次試験対策)の資料、そして産地や品種個性を表現する2千円以上のワイン(用語選択用紙を使いながら感覚と言葉を結び付ける事、常に本番のイメージで→緊張感を伴い疲労しますが堪えましょう)になります。特に受験を意識されている方でない限り、テイスティング用グラス(※)にこだわる必要は御座いませんが、赤なら赤ワイン用、白なら白ワイン用 グラス で実施する方が、よりワインを美味しく楽しめるでしょう(この後で紹介する方法であれば1脚で可能、幾つも購入する必要は御座いません)。

 ※ ISO(国際標準化機構)/INAO(原産地品質管理全国機構)規定グラス:1970年開発当時、初めてワインの味を科学的に考慮したグラスとして画期的な器具であった。赤ワインで 香を取り易く、スワリングでベリー系の香りを強調し、タンニンを強めに感じるという特徴が指摘されている。飽くまで分析試飲用グラスであり、美味しい/不味いという好みを測る物ではない為、一般消費者にとっては味気無いグラスになる。注ぐ適量は50mL、1瓶で15杯分。500円前後で購入可

 此処でご紹介しますのはコンクールを目指すソムリエの方々も採用している方法です。身近に一緒にトレーニングしてくれる方や手伝ってくれる方がいない場合は、是非この方法をお勧め致します。しかし後もう一つご用意頂く物があり、それが詰め替え用ガラス瓶です(黒か茶の遮光性有、180mL ⇒〈一例〉https://www.chuku.jp/product/95)。確かに小さなペットボトル水を空にしてその容器を使うのも非常に経済的ですが、ペットボトルは空気も光も通すため酸化と劣化が早いです。ですので手間は掛かりますが、同一の小瓶ジュースを買い込み飲み干し洗浄し乾燥させるも良いでしょう。(遮光性ガラス瓶は重宝します。上記の他に、例えば日本酒の一升なんて量はどうしたって私の脆弱な肝臓では一日で処理し切れません為、風味劣化防止に詰め替えます。冷蔵庫に一升瓶なんて邪魔以外の何物でもないですし)

 手順は、

allabout.co.jp
良く御負けに付いていますネ

①ワインボトルから、こぼさないように漏斗やラップワインサーバー、或いはポアラー(勿論空気接触〈デカンタージュ〉効果の無い物)を使い、酸化対策で空間が残らないよう瓶口ギリギリまで詰め替える(750mLのワインボトルを巧く四等分出来ます)

②瓶裏に番号を割り振ったシールを張り、ワイン情報を管理する

③冷蔵庫にて保管

 以上、おしまい。後は幾つもの小瓶の中から適当に取るだけでブラインド・テイスティングが出来ます(赤の場合は早めに冷蔵庫から取り出し、16℃を目安に温度調節する必要があります。白は10℃が目安)。受験者の本格的なテイスティング訓練は本当にお金が掛かりますが、これで少しでも無駄を省く一助となれば幸いです。また愛好家の方々でまだブラインドの経験が無い方は、暇潰し程度で気楽に試して見て下さい。(ワインとの勝負として本気にならない内は)意外と楽しめる筈です(当たって勝利すればもっと楽しいです)。「ワインは常に新しい意識を飲み手にもたらしてくれる、誠に素晴らしい飲み物である」という事に気付いて頂けたら喜ばしい限りです。

本日の箴言

 ワインと人間とは絶えず闘い、絶えず和解している仲がいい二人の闘士に似ている。負けた方がつねに勝った方を抱擁する

ボードレール

休日の一本

Cabernet Sauvignon, 2013 (Franciscan Estate, Napa Valley〈※1〉, California)

 紫は完全に落ち、発展している事を示すややオレンジがかったガーネット

 強めの香り立ち。第1 アロマ:赤プラム、ストロベリージャム、ブラックベリー、カシスリキュール、黒胡椒、薔薇。第2:樽 香は強い順に、杉、ヴァニラ、クローヴ、トースト。又トースティングの度合いが高いのか、エスプレッソや木炭も。第3:若干の肉やセイヴォリーな香り

 強めの酸と強めのヴェルヴェッティなタンニン、Alc13,5%を伴うフルボディ。フレーヴァの印象は強めだが、余韻には然程長く残らない。品種個性が良く表現され、樽の要素が若干優勢的ではあるが(小樽熟成20ヶ月)、凝縮した果実味(オークヴィル〈※2〉と他のナパの比較的冷涼地の葡萄)に良く溶け込み、アルコール感と共にバランスを取っている。一方強いタンニンがそのバランスをやや損なわせるが、強めの酸のストラクチャーも手伝いあと3年は熟成して行くだろう。値段以上の品質〈2019年2月〉

 ※1 この地域の代表品種はカベルネ・ソーヴィニョンで、ほんの3,4年物でも楽しんで飲める。一方、偉大な造り手の偉大な ヴィンテージ では50年もの歳月を掛けて素晴らしい熟成を見せる

 ※2 Oakville:肉付きの良い本格的なカベルネや、ナパワインの真髄である芳醇さが備わるA.V.A(政府認定栽培地域)。此処で最も知られているのがスクリーミング・イーグルやハーラン・エステート、そしてオーパス・ワン(参考⇒ワインと音楽のペアリング)である

フランシスカン、カベルネ・ソーヴィニョン(amazon楽天yahoo

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