第三瓶 感覚の言語化

 この感覚の言語化が容易たやすく出来れば私が老婆心切を起こす事も無かったろうに、いえ、むしろこの世は詩人で溢れ返っている事でしょう。とは言え、ソムリエは詩人ではありません。ホメロスやヴェルギリウス、ダンテ或いはイェイツなどが詩人です。その霊感、感受性そして言葉のセンスたるや畏るべきもので、常人が如何に訓練しようと養えるものではありません。しかし前回申しましたように、テイスティング能力は才能ではなく訓練の賜物です。反復学習を繰り返し、以前に経験した色香味を自分の記憶に照合させる事なのです。したがって未経験のワインを言い当てるなど土台無理な話で、たとえもしそれが出来たとしても、それは唯の紛れ当たりで実力とは言えません。故にワインの資格におけるテイスティング試験とは、勿論ワイン当ての要素もありますが、それ以上にそのワインが有する要素の分析であります(※)(⇒日本ソムリエ協会呼称資格認定二次試験対策)。アメリカのマスターソムリエのMr.ガイザーは「私の正答率は70%強、もしサンプルが本当に良く、かつクラシックワインだとしたら」「私のワインに対する一番の信念は、信念が正確ではないということ」と仰っております。長期熟成したワインであれば、複雑な自然の力に左右され、その造り手達でさえ当てるのは無理難題という話も伺った事があります。という事で、当てっこゲームにご興味のある方はJSAが毎年5月に開催しておりますテイスティングコンテストにご参加頂いて、此処では先ず我々自身に備わる五感と五味の分析から参ります。

 ※先ずは自分で香りを探しながら感じたまま自由に表現してみて、それでも言葉に詰まる/ソムリエのコメントを理解したい/資格を取りたい、という時にテイスティング用語集などを使う確立された方法を取るべし、が個人的な意見です(勿論ソムリエの意見は逆です。必要があれば下のURLからのアロマホイールを参考にしてみて下さい)。何故なら一度既存の型に嵌まってしまうと、それに捕われ、即ち表現の自由を奪われ、結果其処から抜け出せなくなってしまう危険性が高いからです。また 匂いおよそ500種もあり、更に人の感覚には個人差があるのですから、絶対的な正解不正解など在り得ません。もし人が犬と同じ程度の 嗅覚 を持っていたとしたら全て正解となる筈です。但しそれでは何でも在りの無秩序状態になってしまいますので、その中でも特に強い匂いが試験では正解とされるのでしょう。

アロマホイール⇒htp://www.unicom-japan.co.jp/aroma/wheel.html

外観の表現一覧はコチラ⇒https://winefolly.com/deep-dive/complete-wine-color-chart/

www.exclusive-wine.com

本日の箴言

 人は繰り返しの行いで成り立っている。したがって優秀さとは、行動によって得られるものではなく、習慣の賜物である。

アリストテレス

平日の一本

Albarino 2018 (Val do Salnes, Rias Baixas, Spain. Mar de Frades)

 グラデーションのある濃いめのイエロー

 強い香り立ちは熟した黄桃や黄林檎、洋梨、レモン、スイカズラやカモミール、また白スパイスや潮の香りが爽やかさを演出する

 瑞々しいアタックから高い酸度が充実した果実味にストラクチャーを与えるミディアムボディ。ミネラル 由来の苦味と塩味の余韻は中程度

 リアス・バイシャスのアルバリーニョは「海のワイン」と呼ばれる通り、寿司など魚介類との相性は抜群。8~10℃、中振りの グラス で。潮騒が響くテラスで、青い空と青い海を眺めながら頂きたい

アルバリーニョ、マル・デ・フラデス(amazon楽天

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