アサンブラージュ

複数の仕込み槽または樽のワインを選んで混合、均一化する工程。混醸、ブレンディング。この作業の厳密化が醸造元のワインの質を決定する。目的は次の五つ

①複雑性を高める

②バランスの向上

③一貫性の達成

④或る特定スタイルの創造

⑤スパークリングワインにおけるロゼの製造

同原産地ワインのあらゆる長所が合わさりバランスが取れ複雑味が生まれ、異なる強さと弱さによって完成度の高いワインを造る事が出来る。ヴィンテージ 毎に差の無い安定した品質の確保が可能

ボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニョン(タンニンによる骨格)+メルロー(ソフトな果実味)+カベルネ・フラン(アロマ)+プティ・ヴェルド(少量で色とボディ)=バランス・複雑さ・完成度の高さ・品質の安定。新世界にてボルドー・ブレンドしたワインの事を Meritage(メリタージュ、メリテージ)とも言う

ローヌ南部では、GSMと呼ばれ、グルナッシュ(高アルコール度のスパイシーで丸みのある果実味)+シラー(色濃く確りしたボディ)+ムールヴェドル(豊かなタンニンと力強く豊満な風味)

シャンパーニュでは主にシャルドネ(繊細さと新鮮味)+ピノ・ノワール(ボディと骨格)+ムニエ(フルーティさとしなやかさ)で、ノン・ミレジメやNV(ノン・ヴィンテージ)と呼ばれるワインは テロワール や品種表現ではなく、メゾンスタイルの表現となる。個性の多様化、料理との相性の優位性も目指す。RM「レコルタン・マニピュラン」など小規模ハウスはワインをストックする場所が無い為レゼルヴ・ワインに重きを置かない(→年毎の味のムラ、それが一種の個性)。それに対し、NM「ネゴシアン・マニピュラン」の大手は常に同じ香味の物を造り続ける難しさ(→Millesimeミレジム/Millesimésミレジメ/ヴィンテージ物の方が楽な場合もある)があるが、それは、究極のブレンド比率というものが存在しない為であり、更に、全てのアサンブラージュの材料を余す事無く利用(一部は売却)して、シャンパーニュ製造の経済性と効率性を図らねばならぬ為である。因みにルイ・ロデレールは、温暖化の影響で熟度の高い葡萄が毎年の様に収穫出来るようになった事から、葡萄が未熟なヴィンテージ故にレゼルヴ・ワインで補完して毎年一貫した物を造るという発想から、NVでもその年の個性を表現した造りに転換したとの事

この反意語は、単一品種を意味するモノ・セパージュ、モノ・ヴァラエタル

因みに、清酒においても調合ブレンドは一般的であり、それはタンク毎に味がどうしても同じに為らず違って来てしまうからだという(大吟醸など上位の酒は単一が多い。埼玉県さいたま市の小山本家酒造では十種のブレンドにより安定した質を実現しているとの事)